そして、ガールスカウト日本連盟さんの協力を得て、無料で会場を貸していただきました。どうもありがとうございます。
参加者70名、スタッフ11名、総勢81名で、2つのワークショップを行ないました。
1つめは、DEAR一番人気の「ワークショップ版・世界がもし100人の村だったら」。制作者の一人であり、当会の副代表である上條直美さんが進行をしました。
「あいさつ」「大陸」「識字」「富の分配」を体験し、最後にクッキーをどうやって配分するのかを全員で考えました。
震災後に被災地域に送られた支援物資の配分の難しさに思いを巡らせた方も多かったようです。
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大陸に分かれているところ |
休憩をはさんで、「グローバル・エクスプレス」。
スタッフの西と八木が進行を担当し、3つのアクティビティを実施しました。
まず、震災から50日間の新聞一面を追いながら、起こったことをふりかえりました。そして、先日公開した教材「東日本大震災」の中から「3.11をふりかえる」を使って、グループ内でそれぞれの気持ちや体験をじっくり聞き合いました。4月2日の第1回目の時は、「不安」や「混乱」した気持ちを話す方が多かったのですが、今回は「支援活動に参加した」といった具体的な行動についてお話しする方が多く、また、原発などをめぐる社会の動きを落ち着いて捉えた意見が印象に残りました。
時間と共に、変化する気持ちや行動。
また、3か月後、半年後、1年後にもふり返ってみたいと思いました。
次に、これは公開した教材の中には入っていない「国際協力」を考えるワークをやりました。
今回の震災ではとても多くの国々から支援を受けている日本。
どこから援助を受けているか?「援助国」を想像して地図に色を塗ってみたあと、実際の援助リストを見てみました。ほとんどのグループが30~60か国に色を塗ったのですが、実際は143カ国もの国々(4月末現在)が援助してくれていることにビックリ。自国の経済情勢が芳しくない国々も数多く含まれています。
その後、「復興財源のためにODA予算570億円を削減することを決定」という新聞記事を読み、「ODA500億円を削減し、震災復興財源とすることは妥当である」という意見について「部屋の四隅」(妥当である/どちらかと言えばYes/どちらかと言えばNo/妥当でない)をやりました。「妥当である/どちらかと言えばYes」が6割強、「どちらかと言えばNo/妥当でない」が4割弱くらいに分かれ、意見交換。意見を聞いて途中で場所を動いた方もいました。
最後に、新聞記事「出荷自粛・停止期間中にホウレンソウ出荷 千葉・香取」(4月27日朝日新聞)を読んで、「わたしの気持ち」をやりました。
前回のワークショップでは「震災についてどう感じる?」というお題で「わたしの気持ち」をやりましたが、今回は具体的に、様々な読み解きができる記事を使ってやってみました。「消費者としては不安だが、出荷する農家の立場になってみたら、仕方がない」「ルールは守ってほしい」「補償について説明がなければ出荷してしまう」「これは氷山の一角?」「もともとは原発事故が原因なのに‥」などなど、たくさんの意見が出ました。
※ワークシート「わたしの気持ち」の基本形は教材「東日本大震災」に入っています。
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翌日、翌々日に後追い記事も出ていて教材向きの記事です。 |
振り返りシートには下記のような感想がありました。
▼今日学んだこと、気づいたこと「100人村」
- 世界の国々の多様性について改めて考えさせられた。とにかく知ることが大切だと思った。
- 今日のようにポイントを絞って、ゆっくり時間をとっても、お互いの気持ちをシェアしていくやり方を学べて良かった。
- 会うことはなくても「世界に誰かがいる」という感覚を持ち続けていきたい。
- 開発途上国や震災など、複雑でも少し重いテーマでも授業のやり方によって考えることができる。
- 「100人村」にしても震災にしても、大変な思いをしている人たちがいることを知ってはいたが、状況を変えるために自分が何か行動をしているかと聞かれると、何もしていないことに気づいた。
- わたしは貧困層でした。もし、今回のように見える位置にたくさんクッキーをもらっているグループがいなければ、自分の現実を耐えるしかしなかったと思います。欲しい時も足りないとも思わなかったかも。また、システムやリーダーシップをとる機関がなければ、物資があってもうまく配分されることがないこともよく分かりました。
- 貧困層でした。分け合ってみんなで食べることは意外と楽しかった。クッキーをたくさん持っている富裕層に対して「欲しい」という声を自分からはなかなか言えないんだと気づいた。クッキーを持っているグループから「みんなに分けてあげたい」という声があり、ありがたいと思いました。
- 311からしばらくたった時期だからこそ、風化させないためにもぜひ扱っていかなければいけないと思いました。
- この1カ月感じていることで、自分の気持ちがクリアになった。また色々な人の意見を聞くのは勉強になった。
- 情報を伝えることも大切だが、その情報によってどのような気持ちになったか自分の感情を言葉にすることも大切。
- 意外と考えてそうで、子どもたちだけでなく、わたしもニュースを聞き流しているだけだった。きちんと向き合っていなかった。
- 今、起きていることを学校で扱わなければ、子どもたちが生きる社会と学校の学びがつながらないので、扱うべきと感じた。
- ODAの削減について人の意見を聞いている時に、そこにリンクして自分の意見をより探求できたのは発見でした。
- 震災後に今回のことについて話す機会があまりなかったので、人と話し合うことができて、他の方の意見を聞けて良かった。「書いて話す」というのは自分の中で意見を整理することができるということが大きな発見だった。
- 日々の生活に追われる中で改めて自分を振り返り、世界や震災について考えることができました。考えること、葛藤することが大切なんだとつくづく思いました。
- ひとつの新聞記事から広げる授業の面白さ、自分の意見を言い、相手の意見を聞くことが楽しいということ。
- がっつり原発を切り口に「グローバル・エクスプレス」をやってみたい。
- ニュースにならないけど、支援している国・地域・団体について内容を知りたい。
- 「ひとつになろう」キャンペーンの怖さ。メディアはなぜあのような報道の仕方になったのかの分析。
- 答えのないテーマであったが、最後にもっと具体的な答えのような意見を話し合う場があれば、より頭の中が整理されると思った。
- これ以外のワークショップについても、もっと深く知りたいと思った。教材づくりの際に心がけていることなど。
- ボランティアのことも、ほうれん草のことも、もっと深く掘り下げてみたいと思った。
- 世界で援助を必要としている実際の現地の人の意見や気持ちをもっと知りたい。
- まずは教室の子どもたちに返したい。それぞれの子どもがどう感じてくれるか。
- とても身近な人が連休明けから仙台に行くことになりました。まずは応援したいと思います。知ったことは伝えてこそ意味があります。
- ワークシートを用いて、具体的なテーマについて色々な人と議論していきたいと思った。
- 「わたしの気持ち」のワークシートを利用して、生徒同士が情報を共有する、異なる意見・価値観を知る機会を学校現場で増やしていきたい。
- この震災をこのままで終わらせないように、きちんと自分の中で整理をしたい、そして、自分が関わっている子どもたちにこのようなワークショップを開きたい。
- 被災地の子どもたちと東京の子どもたちとの交流キャンプを企画中なので、配慮しつつ双方に気づきのある場にしたい。
- 自分がまだまだ考え尽くせていない中で、ワークショップをやる側にいていいのか悩みます。でも、やる中で気づくこともあるかもしれない。
- ワークシート、大いに活用させていただきます。震災で、不安定になっている子どもたちも多いので。こういう形式なら、自分の感情を確認しやすいと思う。
▼認定NPO法人 国際ボランティアセンター山形(IVY)
東北広域震災NGOセンター開設し、他団体とも連携しながら緊急支援活動を行なっている。 http://www.ivyivy.org/news/ngoivy.html
▼NPO法人 地球のステージ(宮城)
宮城県名取市の東北国際クリニックを拠点に診療、避難所への移動診療を行なっている。現在は24時間体制で被災者の診療にあたっている。 http://www.e-stageone.org/
▼NPO法人 バニヤンツリー(秋田)
秋田に拠点を置き、被災地へ救援物資の送付や秋田県への避難者の支援を行なっている。 http://www.banyan-tree2000.com/
みなさまご協力ありがとうございました。
このような話し合いの場を、教室で各地で開催してくださいね。