2011年5月18日水曜日

長野で震災ワークショップ

5月13日(金)、長野県社会福祉協議会&長野市社会福祉協議会から講師派遣のご依頼があり、長野にやってきました。「福祉教育特別ワークショップ/大震災から2か月…みんなで語ろう「あの日」から始まる未来」というタイトルの講座で、グローバル・エクスプレス『東日本大震災』を使って2時間のワークショップを行いました。


小・中・高校の先生と長野県内の社会福祉協議会(社協)スタッフの40名程の方が参加。聞けば、先生と社協スタッフが一緒に講座をやる機会というのはあまりないそうです。当日のプログラムをご紹介します。

(1) アイスブレーキング&自己紹介

自己紹介ができるアクティビティを幾つかやった後、5~6人のグループに分かれて、グループ内でしっかり自己紹介。その後、今日のルールづくり-「積極的に参加しよう/ほかの人の意見を聞こう/否定しない/話したことはこの場限り/楽しもう」をしてから、ワークショップをはじめました。

(2) 311をふりかえる

3月12日から講座当日までの新聞各紙(朝日、毎日、読売、日経、信濃毎日)を並べて、震災以降に起こった事柄をふり返りました。
‥ちなみに、長野は北部地震もあり、現在も栄村では避難されている方もいるため、社協の方に地元紙(信濃毎日と中日)をご用意いただいていたのですが、東京で読む新聞と内容に大差がないことが、意外でした。

その後、「311をふり返る」のワークをやりました。3月11日には長野も大きな揺れがあったとのことで、学校や職場で経験した様々な事柄をグループで話し合いました。12日未明に長野震源で起こった地震で飛び起きたこと、学校で生徒が行った募金活動のこと、被災地に応援に入った社協スタッフの体験、市民からの相談に苦慮したボランティア・センタースタッフの体験など、尽きることなく、それぞれの311、それぞれの311からの日々を話し、聞き合いました。

(3) これからの世の中

続いて、「これからの世の中」のワークをやりました。はじめに1人でワークシートに記入し、その後、グループ内で共有しながら大きなワークシートを埋めていきます。最後には、各グループを回って、ほかのグループがどのような話し合いをしたのかを見比べました。
エネルギー政策のこと、地域や家庭内のコミュニケーションのこと、防災のまちづくりのこと、国際協力のあり方など、たくさんの変えたいこと、変わってほしいことが出ました。
1人で→グループで→全体で考えていくと、視点やアイデアが広がることが実感できるような時間となりました。


最後に、参加された方の感想をご紹介します。
  • リアルなニュースをもとにワークショップをするのに勇気が必要だったのですが、今回参加し学校にプログラム提供してみようと感じました。(小学校教員)
  • 日々感じていてもなかなか口に出して言う、伝える場が、そういえばなかったなと思いました。中学生も同じように感じているハズ。学校でやりたいと思います。(中学校教員)
  • 災害に対し感じていたことを伝え合うことで共感したり、新しい見方が生まれたりと、自分の思考が少し整理されていくような感覚になりました。(社協スタッフ)
  • 普段なにげなく感じていた大震災について、改めて考えたり発言したりほかの方々の意見を聞いたりすることで、自分の意識を改めて感じることができた。発言することが大切なんだと感じた。(社協スタッフ)
  • 大震災から2か月以上もたつのにメディアからの一方通行の情報だけで終わっていた。今回ざっくばらんにこの震災について情報交換ができてよかった。(小学校教員)
  • 何も知らず参加しましたが、こんなに話し合いが盛り上がるとは思いませんでした。「否定しない」という約束のおかげで気兼ねなく話すことができました。とても充実した時間でした。(中学校教員)
  • 自分自身がいろいろ考えるためにこのワークショップはとても有効でした。これを生徒におろすのは難しいので、このワークショップを参考に学校でも震災について心の教育をしていきたいと思います。(小学校教員)
  • 「311をふりかえる」、「これからの世の中」のシートを通して、各テーブルごとに色々な意見が出て、震災に対する心構えができて、大変有意義な、語り合う会でした。
    本日の参加者は小中学校の先生、ボランティア団体、社会福祉協議会、個人ボランティアの各位と話し合いができてよかったと思います。(社協スタッフ)
  • 震災に対する切ない思いは今も持ち続けているのですが、何もしていない自分に改めて気づかされました。今後に備えて今日から?明日から?少しでも動き始めることができたらいいなと思います。(教員)
  • 学校の取り組みや当日の学校の様子など、各々まちまちな対応だったことも知ることができた。放送が流れた・流れない、机の下に避難した・しないなど。(社協スタッフ)
  • これまで社協は車いすやアイマスクを借りる場所といったかかわりであったのですが、震災に関わること他、もっともっと多様なつながりを持っていくことができそうだと思った1日でした。(社協スタッフ)
今回の講座では、先生だけでなく、地域福祉に取り組む社協の方もいたことで、とてもよい学びの機会になったと思います。「これから」を話している中では、「学校と社協と一緒に防災訓練!」など、興味深い話が盛り上がっていました。地域企画された長野県社協の皆さん、どうもありがとうございます。

この教材はDEARのサイトからダウンロードできます。また、ファシリテーター(講師)の派遣もしていますので、ぜひ、学校で地域の学びの場で、ご利用ください。
(八木)